宿便に関する誤解


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健康・ダイエット関係でよく使われる「宿便」は、一般的な定義とは異なり、数週間程度以上の長期にわたり腸壁にこびり付いている便のことを指し、断食や腸内洗浄によってはじめて排泄されるとされる。この手の言説では、こうして腸壁が清掃されるため断食に健康増進の効果があるとされるほか、断食しなくても宿便排泄に効果があるとされる健康食品の宣伝が行われることが多い。 しかし、断食療法を行っている医師も、腸管の粘膜は日々生まれ変わるので、このように腸管にこびりつくというような便は存在できないと述べている。[1]。 断食等により排泄される宿便と呼ばれるものは、上記のように腸壁にこびりついている便ではなく、胃腸の処理能力を超えたために滞留している排泄内容物である。[2] 人間の腸には多数の襞があるのでその谷間に便が滞留し、断食の際に排泄されると説明されるが、内視鏡で観察しても腸壁にこびり付いた便は確認されない。小腸の内壁の表面には、柔毛という無数の小突起でおおわれており、これらは栄養素を吸収するための効率をあげるため無数の突起で表面積を増やしているが、これを構成する細胞は、新たに増殖し供給される細胞によって約24時間で突起の頂上まで押し上げられていき、頂上に達するとはがれ落ちて排泄されている。大腸の腸壁には柔毛はないが、新しく増殖した細胞が次々に出現し、古い細胞が剥がれ落ちて更新している点は同様である。このことから腸壁に便が癒着する事は考えにくい。断食中であってもこのように上皮細胞の更新が起きるほか、粘液線から分泌される粘液が常に腸管内に供給されており、腸内細菌はこれらを餌に繁殖し続け、その一部は肛門から排泄される。 つまり、断食の際に大量に排出される宿便と呼ばれるものは、腸内粘液や消化液、腸から脱落した古い上皮細胞などを基質として増殖した腸内細菌そのものに過ぎないとされる[3]。 カネミ油症事件の油症患者に絶食療法を行った場合、体重が減るとともに排泄されるダイオキシン類が増加し、症状が軽減することも確認されている[4]。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』




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